考察 Evernoteとはなにか. なにが優れているのか

このブログを書き始めてからだいぶたちますが, そのころよりはかなりEvernoteが有名になり利用者が増えた印象です. Evernoteの解説本やWebでの解説記事もかなり増加しました.
私なりに, Evertnoteはどういうもので, それがどう優れているのかを, 巷で言われるEvernoteに関する言説にふれながら, 書き留めておこうと思います.

Evernoteはメモアプリである. でも, ちょっと変わっている

Evernoteはまずメモアプリであるという基本にたって考えるべきです. これを, オンラインストレージと考えて解説しているものも少なくないのですが, 本質的ではないでしょう.

出自はEverNoteとよばれるローカルなメモアプリ

もともとEvernoteEverNoteという, PC本体にインストールしてローカルだけでつかえるメモアプリであったと聞いています. わたしがEvernoteを使い始めたのは, クラウド化しnが小文字になってからですので, この時代を知らないのですが, そもそもオンラインストレージではなかったというのは注目に値する事実です.

インターフェースはメモを取り, メモを探すことに特化

WinでもMacでもiOSでもAndroidでもEvernoteを使うことができますが, そのいずれもメモが素早く取れるように設計されています. 基本の入力画面はテキスト入力画面であり, 添付ファイルはあくまでもおまけ. メールの作成画面のようなインターフェースです.

他のメモアプリとは違う「メモ魔」アプリ

メモアプリというと, テキストを入力して保存するという基本的な機能のみを備えているものが多く, これはまさに, 「ちょっとしたメモ」には便利です. Evernoteは, そのメモのなかに, 録音, 写真, 動画, Webページ, 位置情報, 日記, 食べたもの, 出会ったひと, その他雑多のファイル, というまさにあらゆる種類の情報を一緒に記録するようにできています. データプランもよくある総容量制限制ではなく, 一ヶ月あたりの転送容量で制限され, 総容量は無制限です. スマートフォンやPCからいつでもあらゆる情報を記録し, それをずっと保存していつでもどこからでも呼び出せるようになっています. ここまで徹底した個人向け「メモ魔」アプリは, おそらく他にはないのではないでしょうか.

従来のファイル/フォルダをベースとしたデータ管理を否定

PCをはじめとしたデジタル機器は, あまり人間にあわせてくれません. ほとんどのOSで採用されている, 「フォルダ」と「ファイル」をベースとしたデータ管理は, 代表的なものでしょう. Evernoteは, それを「ノートブック」と「ノート」をベースとしたより人間らしいものに変えてくれます.

「ノートブックはフォルダ, ノートはファイル」ではない

ノートブックとノートについての解説では, フォルダとファイルに例えて説明される場合が多いのですが, 私には適切には思えません. ノートブックはフォルダと違い, 入れ子構造を作ることはできません. これは大きな違いです. 私たちの現実のFolderは, その中にFolderを作ることはありません. Evernoteのノートブックとノートの仕組みは, より私たちの実生活に近いものです.

Evernoteのイメージはバインダー式ノート

Evernoteでは, ノートは一枚のページとして表示されます. メモは直接表示され, 画像やPDF等のEvernoteが特にサポートしているいくつかの種類のデータは埋め込まれて表示され, それ以外の添付ファイルはユーザーが指定した位置にテキストと一緒に表示されます. この表示形式は, 一枚の紙に文章が書かれ, 一緒に写真やその他の情報が糊かテープで貼り付けてある感覚に近いとおもいます.
ひとつのノートは, コンピュータのデータとしてはいくつかのファイルで構成されており, その意味でノートはファイルの集合体ですが, ユーザーがそれを意識することはなく, あくまで一枚のノートとして扱われます.
ノートブックは, バインダーのイメージでしょう. いろいろな文章が書かれその他にもいろいろと貼りつけられたノート(=note)群を, 束ねておくものです. バインダーがバインダーを挟んでしまうことはありません.

まとめ よりわかりやすく直感的なデータ管理

ファイルもフォルダも人間的ではありません. わたしたちがPCで扱うデータというのは, 結局はそれまで紙ベースで扱われていたもの, つまり, 何かのメモや, 資料や, 書籍や, 写真が殆どです. そしてそれはバインダー等に閉じられて整理され, 一枚一枚めくって閲覧するものであり, 小さく丸めて二回つついて開くようなものではありません. Evernoteでは, より人間的な, ノートブックとノートというふたつの概念を用意し, ノートはアイコンではなく, ページとして表示されるようになっています.
また, Evernoteは前述したような「メモ魔」性があるので, これでほとんどすべてのPC上で扱うデータを管理することができます.
Evernoteはフォルダとファイルをベースとした機械的なデータ管理から私達を開放し, データの種類やコンピュータの仕組みではなく, 情報そのものに意識を向ける事ができるようにしてくれます. これこそがEvernoteの美点であり, 私がEvernoteに執着する理由です.