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なぜ日本語では人称代名詞が不要なのか

What's so special about Japanese personal pronouns?nihongotopics.wordpress.com

I, you, he, she, they –– これらは人称代名詞と呼ばれます。ヨーロッパの言語は一般的にこれらに相当する単語を持っていますが、日本語はそうではありません。

「私や僕といった単語はどうなんだ?」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。それらは単に名詞なのです。ある意味では、代名詞と呼ぶこともできます。なぜなら、意味は英語の代名詞と似通っていて、一般的には英語の人称代名詞を日本語に翻訳する際には用いられるからです。

実際の会話 –– アニメなどのフィクションではなく –– を注意深く観察すれば、これらの使用がいかに少ないかに驚かれるかもしれません。

英語の人称代名詞と何がそんなに違うのか?

英語の人称代名詞は言語の基本的な装備品の一つです。"he'll go there" とか "I'll go there" といった極めてシンプルな表現にさえ必要です。これらの文では、Iとheは動詞が会話の中で誰に関わるものなのかを示すマーカーです。もしこれらがなければ、文は曖昧になり、意味を確定するためにコンテキストに依存しなければならないでしょう。

翻って日本語では、「行く」主体を決定するのは代名詞ではありません。以下の例をとってみましょう。

  1. 行くって。
  2. いらっしゃるって。
  3. 行く。

これらの文はただの一つの人称代名詞も持っていませんが、誰が行くのか、また、それらにふさわしい英語の人称代名詞は何か、それぞれ判別が可能です。少しの間考えてみてください。

  1. 行くって。 – she/he/they
  2. いらっしゃるって。 – she/he/they
  3. 行く。 – I

なぜでしょうか?まず、第一の文には終助詞「って」があります。これは述べられた情報がsecondhand –– 第三者によって提供されたこと –– であることを示します。「行く」が第三者によって提供された情報であるとすれば、論理的に言って、主語が"I"または"you"であることはありえません。従って、she/he/theyと言えるのです。

第二の文にもまた「って」がありますから、主語はshe/he/theyであるということができます。この文の動詞は尊敬語ですから、主語は話者よりも上位の誰かであるということもわかります。英語では性を区別しますが、日本語では話者に対する立場を区別するのです。

三番目の文には何らの終助詞もなく、動詞は終止形になっています。日本語では、文が終止形の動詞だけから構成されるということは、その話者がその情報を直接知覚可能だということを意味します。もし誰かが「行く」とだけいい口を閉じてしまったなら、「行く」のは話者であるとわかるのです。なぜなら、「行く」ことを直接知覚できるのは行く張本人だけであって、誰か他の人が「行く」ことを直接知る方法はないからです。もし誰かが「行く」ことを話者に告げたなら、「行く」ことを間接的に知っていることになります。動詞が終止形で、他の何らの要素もないということから、主語は"I"であると言えるのです。

英語では、主語は代名詞によって示されます。日本語では、文の複数の要素によって示されます。