MacBook 12" Early 2015 Space Grey

以前からずっと欲しかった、12インチのMacBookを先日買いました。お金を節約したかったので、新品ではなく、中古の2015年版を買いました。

最新のモデルと比べ、わずかにプロセッサのパワーとバッテリーの持ちが劣るだけであって、全体的な使用感にほぼ変化はないと思います。

今まで使っていたのは2012年の11インチのMacBook Airで、これはバッテリーがそもそも4.5時間しか持たないと謳われていたモデルで、普段から不便だなと思っていました。MacBook Airは2013年からほぼ一日中使えるバッテリーライフを搭載したので、後1世代違えば、と思うところはあります。

もちろん、2015年のMacBookが2012年のMacBook Airに勝るのはバッテリーライフだけではありません。Retinaディスプレイはもちろんのこと、新しいキーボードとより良くなったトラックパッド、また、画面は少し大きく縦長で、筐体は非常に小さく、薄く、軽くなっています。

この薄さと小ささには目を見張るものがあって、これが机に置いてあるのを見ると、まるでSF映画のワンシーンのようです。

バッテリーライフですが、とりあえずデフォルト設定のまま普段のように使ってみました。具体的には、ノートをとったり、教科書を開いたり、ウェブサイトをチェックしたり、Eclipse でコードを書いて実行したりという作業です。これでどれくらいバッテリーが持つか試してみたのですが、どうやら7時間から8時間程度のようです。Appleは9時間のバッテリーライフを約束していたはずなので、少し期待外れかなというところでしょうか。

実際には、デフォルト設定のまま使いたいということはなく、例えば初期設定のままでは画面は眩しすぎますし、キーボードのバックライトも、こんなに明るい必要はありません。というか、キーボードのバックライトに関しては、見た目が綺麗なだけで、あまり便利なことはないので、ひょっとしたら完全にオフにしてしまうかもしれません。

使いやすいように画面を少し暗くして、どれくらいバッテリーが持つかですが、少なくとも9時間くらいは使えそうな感触です。もちろん、バッテリーライフは具体的にMacBookで何をするかで大きく変わります。何かを表示してそれを読んでいるというような場合、バッテリーはかなり長持ちしますが、今のように日本語をタイピングしている場合は、バッテリー消費が激しようです。メニューバーのインジゲーターは、残り93%のバッテリーで、6時間45分持つと表示しています。

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ちなみに、この状態で画面の明るさ設定はどうなっているかというと、こんな感じです。

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キーボードのバックライトも少し暗くしてあります。

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そもそも1日に7時間以上パソコンで作業しなければならないということはそんなに多くありませんから、基本的には充電器を持ち歩く必要はなさそうです。

キーボードですが、これは少し評判が悪いところだと思います。ただ、私の感触では、これは非常にいいキーボードで、確かに今までのキーボードと打鍵感が大きく違うものの、タッチスクリーンの打鍵感に近いため、普段からiPadiPhoneを使っている私としては、ギャップが少なくなって快適です。キーが非常に浅いため、深く押し込む必要がなく、軽くタッチするだけで入力ができます。今までのキーボードよりも力が必要ないので、疲れにくいのではないでしょうか。

この浅いキーボードのもう一つのいいところは、立った状態で使いやすいということです。MacBook Airのような軽量ラップトップであっても、立った状態でタイピングするのは以上にやりにくい作業でした。利き手ではない方の手で本体を支えて、利き手でタイピングをすると、キーを押し込む力で本体がぐらついてしまうためです。MacBookのこの薄いキーボードは、キーを押し込む力は非常に弱くても大丈夫なので、本体のぐらつきが最小限に抑えられます。iPadが立った状態で使いやすいのと同じような感覚です。

ティスプレイは素晴らしいの一言です。Retinaディスプレイなので、美しいのはわかっていましたが、しばらく使っていると、このディスプレイの美しさが身にしみてきます。同じようにウェブサイトを見ていても、MacBook Airとは全く違って見え、印刷物のようにいつまでも眺めていられます。ガラスとディスプレイの距離は非常に近く感じられ、iPad Airのように浮いている感じがしません。12インチですので、大抵のPDFファイルは見開きで表示できます。文字が小さすぎると思ったのですが、解像度がここまで上がると、小さな文字でも快適に読むことができることがわかりました。

文字がある程度小さくても快適だとわかったので、ディスプレイ設定を変更し、デフォルトよりもスペースを広げています。(前掲の画像参照。)こうすると、例えば Eclipse においてより多くのコードを一つの画面に表示できるわけです。

このMacBookが私の家に届いた翌日、9月20にmacOS Sierraが正式にリリースされました。これを適用すると、いくつかのアニメーションがリデザインされ、また、ついにSiriがMacにやってきました。今のところ不具合は一切なく、新しいアニメーションは納得感の大きいもので、とても良いアップデートだという感触です。

Siriに関しては、Hey Siri が使えないため、わざわざキーボード入力よりも不安定なボイスコマンドで何かをする用事があるかというと、あまり多くはなさそうなのですが、今後に期待というところです。

ちなみに、Macには以前からアクセシビリティ設定の一部として、ボイスコマンドで操作する機能があり、この設定をいじって Hey Siri で Siri を呼び出すことはできるのではないかと思います。

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Sierra で一番実用に資しそうな機能は、Universla Clipboard ではないでしょうか。Appleの無線技術に関しては、(現在では大きく改善されているものの)AirDrop があまり思った通りに動かないことが多かったため、また同じようなトラブルが続くのではないかと思っていたのですが、全くなんの設定も必要なく、ただiOSバイスで何かをコピーし、Mac上で貼り付けのコマンドを入力するだけで動作し、まさに It just works! というような気持ちのいいものでした。

Macが競合のWindows製品と比べてよく批判されるのは、タッチスクリーンを備えていないところですが、例えば手書きをしたいというような場合、iPad上で手書きをし、それをコピーしたら、それだけでMacで貼り付けをすることができるので、少し弱みが軽減されたかなという感じがします。もっとも、いい加減タッチスクリーンの導入を考えてくれてもいいのではないか、という気もするのですが。(MacBook Proにおいて部分的に導入されるという噂は立っていますので、発表が楽しみです。)

なお、Macにタッチスクリーンが搭載されるのは楽しみではあるものの、問題はどのようにタッチインターフェースをデザインするかということですので、単にハードウェア側の事情だけでタッチスクリーンを搭載しないのは、非常にAppleらしい動きではあると思います。Microsoftはタッチスクリーンでもマウスでもどちらでも使いやすいようにWindowsをデザインし直しましたが、(過去最高のWindowsであるという点についてはMicrosoftに同意できるものの)それほどよくデザインされているとは思えず、この程度の実装になるのであれば、今のままのMacの方がましだとも思います。

非常に評判のいいスピーカーですが、普段私はヘッドフォンを使いますので、音質に関してはまだ何の感想もありません。そもそもこのポータブルデバイスでスピーカーを使いたいことがあるかというと、そんなにないんじゃないかと思います。Appleはここはいいスピーカーを搭載する必要はなかったんじゃないかな、という気がするのですが、どうでしょうか。

日本語のライブ変換ですが、非常に快適です。ライブ変換は去年の El Capitan から搭載された機能で、今までのように変換候補を選んで確定するのではなく、タイピングするそばから自動で変換して、しばらく打ち続けると自動で確定するという、まさに革命的な機能なわけですが、残念なことに私の古いMacBook Airではラグが大きく、あまり快適ではありませんでした。このMacBookではどうかというと、El Capitan でもMacBook Airよりも快適な速度でしたが、 Sierra にアップデートした後は非常に早くなり、まるで英語を打っているかのようなスピードで日本語を入力することができます。もちろん時々変換ミスがあり、修正しなければならない場面があるものの、概ね非常に正確で、ミスの頻度は英語を打っている時のタイプミスに比べても悪くありません。

去年のエントリでも書いたことではありますが、日本人の事務処理能力の向上に大きく資するのではないかと思います。

最後になりますが、私がこのMacBookのデザインで最も好きなところは、ファンを搭載していないことです。ファンを搭載しないラップトップというのはある種夢のマシンであって、ソニーがずっと前からやっていましたが、いつでも保守的で、新しいことに対して慎重なAppleは、Macからファンを取り除くのに2015年まで待たなければなりませんでした。

ソニーがやるのとAppleがやるのでは、同じことをやるのでも大きく意味が違います。ソニーは前衛的な企業であり、新しいことにすぐに挑戦します。前衛的な製品は、未来を見せてくれるものの、全体的な使用感では「こなれていない」感じを与えることが多いです。例えばファンがないパソコンというのは、発熱の多いプロセッサは搭載できないため、そして、発熱の少ないプロセッサはすなわち非力なプロセッサであるため、非常に動作が遅くなるという欠点がありました。ソニーはそういう欠点を抱えたまま製品を出していたわけです。購入者は、欠点を理解した上で購入する必要がありました。

対してAppleは非常に慎重で、新しいアイデアはすぐには採用しません。全体的な使い勝手が十分よくできるようになるまで待つのがAppleのやり方です。ソニーが10年前からやっていたことをAppleがやっとやったわけですが、プロセッサは10年前とは違い、少ない発熱でも十分な速度が出るようになりました。

MacBookは、非常に美しく、使いやすく、完全に無音な、非常に完成度の高いデザインで、今後5年間は軽量ラップトップのベンチマークとなることでしょう。