ひらがなはあいうえお順に教えるべきではないのではないか

YouTubeなどでひらがなを紹介する動画などを見ていると、ひらがなをあから順に学ばせようとするものが多いようだ。

ひらがなは50字くらいあって、ラテンアルファベットに比べると字数が多いのみならず、一つ一つの形が複雑だ。

その上、「書き順」という厄介なものがあって、ある程度正しいストロークで書かないと判別が困難な字があるなど、正直、教えるにはハードルが高い。

ひらがなひとつ一つは一つの音を表すというけれども、「ん」が実際には様々な違う音として現れるように、「一つの音」を表しているように感じるのは日本人だけだ。この辺も説明していく必要がある。

思うに、発音の問題は、ひらがなを教える前に先にローマ字を教える段階で説明しておき、同一視すべき発音のバリエーション(複数種類の「ん」など)、逆に同じに聞こえるが区別しなければならない音(短母音と二重母音など)などを理解してから、ひらがなにはいるべきなのではないか。

さらに、ひらがなだけ教えても、発音記号を教えるようなことになってしまっては面白くない。どんな言語でも、アルファベットは単語と一緒に学んだ方が良いだろう。従って、ローマ字である程度日本語を教えておいて、ある程度日本語が理解できるようになったら、徐々にひらがなを導入していくようにすると良いのではないか。

徐々に、というのは、必要なものから、という意味だ。例えば、形容詞を学んだ段階で、形容詞語尾の「い」は認識できなければならない。この時がひらがなの「い」を習得するのに良いタイミングだろう。

「い」を教える時、「い」の直前の母音が「e」(エ段)であるとき、「い」は「え」のように聞こえることに留意する必要がある。

また、「です」の2文字は真っ先に教えることができる。動詞の語尾になる「ます」も同様だ。

一方、従来最初に教えられることが多い「あ」はあまり使い所がない。「です」「ます」「い」の5文字、辞書形で動詞の語尾になる「うくすむる」の5文字、最初に教えるべきであろう接続詞「し」「から」「けど」の5文字、「ません」の「せ」「ん」でさらに2文字。「でした」の「た」で1文字。終助詞「ね」「よ」でさらに2文字。係助詞「も」「は」「って」で3文字追加。格助詞「が」「を」「に」「で」でさらに3文字。ここまでで合計26字。ひらがな全体のおよそ半分。「あ」を教えるのはこれ以降だろう。

ひらがなはあいうえお順に教えるのではなく、必要なものから少しずつ、順々に教えていくべきだと思う。